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2007.12.20 (Thu)

異邦人




アルベールカミュの「異邦人」


あらすじ

アルジェリアのアルジェに暮らす、主人公ムルソーのもとに、彼の母の死を知らせる電報が養老院から届く。母の葬式に参加したムルソーは涙を流すどころか、特に感情を示さなかった。彼は葬式に参加した後の休みの期間中、遊びに出かけたまたま出会った旧知の女性と情事にふけるなど、普段と変わらない生活を送る。ある晩、友人レエモンのトラブルに巻き込まれ、アラブ人を射殺してしまう。ムルソーは逮捕され、裁判にかけられることになった。裁判では人間味のかけらもない冷酷な人間であると証言される。彼の母親が死んでからの普段と変わらない行動は無関心・無感情と人々から取られたのだ。彼は裁判自体にも関心を示さず、裁判の最後で殺人の動機を問われ「太陽が眩しかったから」と答えた。判決では死刑を宣告され、ムルソーはそれすら関心を示さず、上訴もしなかったため、死刑が確定した。留置場に牧師が訪れ、ムルソーに悔い改めるように諭すが、彼は牧師を追い出す。留置場の中でムルソーは、死刑の瞬間に人々から罵声を浴びせられることを人生最後の希望にする。 (参照:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%B0%E9%82%A6%E4%BA%BA_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC))




戦争のようだった学期中のテストも終わって、急に体の調子も悪くなり精神的にも急に空虚を感じる一週間だったのです。肉体も精神もあまり疲れすぎて以前より心の中がなんと表現するか分からないほどごちゃごちゃになっている状態なので、心を落ち着かせるために手当たりの本を読むことにしました。 でも、なんでこんな時選りによってカミュの作品だったのかな。。笑。

彼は「意志もまた、一つの孤独である。」というほど人生の虚無主義を唱えた代表的な実存主義者ですね。まあ、教科書に出てくるサルトルとかニーチェも実存主義者の代表的な学者ですが、この作品をみると濃厚に解けているカミュの思想を読めるです。 この作品の主人公ムルソーの心理を見ると現代を生きている我々の自我を見るのと同時に私は今どうなのかという疑問をもう一度自分自身に問うようになります。 この作品を読んだ人はみんなムルソーの性格を「当惑」、「サイコ」、「変わった者」と言いました(少なくとも私のまわりの人はそう言ったのです。) でも、最初の文章から何の修飾のない文体は私は気にいったのです。私は華麗な文体はあまり好きじゃなくこういう簡潔で羅列すうような本が好きですよ。 とにかく読んでいる間ムルソーの心理は必ずしも理解できないものでもないです。一応彼は周囲から「異邦人」としてされているのですが、彼は徹底的な無神論者であり、徹底的に社会が決めている体制に無関心である人です。そして自分自身の欲望と感情に充実な人なのです。ここでまた作者カミュの考え方が見えるのですが、彼は社会が決めているあらゆる倫理観や道徳は否定して個別的な自己を中心とした実存、つまり一人一人の個別的ボ本質を重要視したのです。


ムルソーは殺人で裁判を受けますが、裁判官、検事らはみんな彼が母の葬式に涙の流さなかったことについて非難します。つまり、社会の約束である倫理観や規範に合わないムルソーは異邦人です。 また、無心論者である彼に牧師がずっと神様の存在を認めること、しかし、ムルソーはその牧師を追い出します。 このようにこの作品は全体的に作者の実存主義という哲学が現れますが、私はこの作品を読んであまり不快だったとか、当惑だったとかという感じは全然しませんでした。


ここでまたこの質損主義の歴史をたどってみると限がなくなりますよね。とにかく、この作品のムルソーを作り出した作者の考え方は今の私たちに沢山の影響を与えていると思います。 実存主義を否定的に観る方が多いと思いますが、不特定多種の社会で生きているこの巨大な社会で自分はいったい何なのかという本当に哲学的なことを一度くらいはしてみる機会を与えていると思います。勿論、人間の本質を「無」とみなすこの本の作者は虚無と孤独の中で本当の本質を探すという考え方の所有者だったのですが、、、


は、、難しいですねー。-;確かに一言で何というのは言い切れませんが、とにかく私は皆が言うようなそういう当惑はあまり感じなったんです。人間の社会が決めておいたすべての不調理(彼はそれを不調理と言いました)の中でのムルソーという人物を見ることができてよかったと思います。 人生は無価値であるかもしれませんが同時に価値あるものかもしれませんし。。。 あ、頭痛くなる。。。笑。。。 不思議なことに虚無主義の代表的な作者の本を読んで気分がすっきりしました。 なんでだろうかな。。。 作者の簡潔で一見無秩序的に見える文体も読むところなので読んでみてください
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テーマ : 読書メモ - ジャンル : 本・雑誌

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