2008.10.07 (Tue)
赤と黒(Le Rouge et le Noir)

赤と黒
(Le Rouge et le Noir)
著者
スタンダール
あらすじ
貧しい木こりの子として生まれた主人公ジュリアン・ソレル(ジュリヤン・ソレルとも)はナポレオンを崇拝し、野心に満ちた美しい青年である。初めはナポレオンのように軍人としての栄達を目指すが、王政復古の世の中ではその願いもままならない。そこで、今度は王政復古の世の中で羽振りの良い聖職者を目指している。
ある日、ジュリアンはその頭脳の明晰さを買った町長・レナールによって子供たちの家庭教師に雇われる。やがてジュリアンはレナール夫人と恋におちるが、レナールは2人の関係を疑うようになる。そこでレナール夫人はジュリアンをかばって、彼を神学校に送り込む。神学校に進んだジュリアンはそこでも頭脳の明晰さと記憶力のすばらしさを校長のピラール神父に買われ、大貴族のラ・モル侯爵の秘書に推薦される。
ラ・モル侯爵家令嬢のマチルドに見下されたジュリアンは、マチルドを征服しようと心に誓う。マチルドもまた取り巻きたちの貴族たちにはないジュリアンの情熱と才能に惹かれるようになり、2人は激しく愛し合うようになる。
マチルドはジュリアンの子を妊娠し、2人の関係はラ・モル侯爵の知るところになる。侯爵は2人の結婚に反対するがマチルドが家出も辞さない覚悟をみせたため、やむなくジュリアンをとある貴族のご落胤ということにし、陸軍騎兵中尉にとりたてる。そして、レナール夫人のところにジュリアンの身元を照会する手紙を送る。
そのころレナール夫人はジュリアンとの不倫の関係を反省し、贖罪の日々を送っていた。そして、彼女は聴罪司祭の言われるままに「ジュリアン・ソレルは良家の妻や娘を誘惑しては出世の踏み台にしている」とラ・モル侯爵に書き送る。侯爵は激怒し、ジュリアンとマチルドの結婚を取り消す。レナール夫人の裏切りに怒ったジュリアンは、彼女を射殺しようとする。レナール夫人は一命を取り留めるがジュリアンは捕らえられ、裁判にかけられる。マチルドはジュリアンの助命のために奔走するがレナール夫人がジュリアンを愛しており、ラ・モル侯爵への手紙は本意ではなかったということを知ったジュリアンは自ら望んで死刑を受け入れる。
野心的な青年、ジュリアン・ソレルの目を通して来るべき革命(七月革命)を恐れながら堕落した生活を送る、王政復古下の聖職者・貴族階級の姿をあますところなく表し支配階級の腐敗を鋭くついている。
なお、ジュリアンが終生愛するレナール夫人は作者・スタンダールの母がモデルと言われている。
<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%A8%E9%BB%92 参照>
プランス小説やらロシアの小説やら韓国の文学じゃない国の小説を読むと、私が経験してない新しい世界が頭の中に勝手に描かれて、それがたまらない楽しみの一つですね。勿論日本の小説を読むと、日本なれではの雰囲気を感じられるんですが、ヨーロッパの世界文学を読むとまた独特な雰囲気が味わえていいですn

この本の副題は「1830年代史」であるだけ、当時ブルボン朝復古王政と共に変化しているプランス社会の様相を生々しく見せてくれます

青年の青春や恋愛を描いた作品でがありますが、背後には「少数の幸福な人」にむけたメッセージも含まれています

この本の題名の意味は主人公のジュリアンが出世の手段にしようとした軍人(赤)と聖職者(黒)の服の色を表していると作品解説で読んだことがありますが、作者は題名について何も説明してないそうです
1830年代のプランスの社会をジュリアンという野心に満ちた青年の波乱万丈な人生を通じて書いています。多分、作者のスタンダールは啓蒙主義者だったため、ジュリアンと言う青年の野心、しかし、その野心をかなえない現実を作品の前面に現しながら現実を鋭く批判したんじゃないですか。つまり、彼は階級が支配している社会を否定し、個人の能力が重視される社会を夢見たのです



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